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様々な振り返りの手法を試してみた

様々な振り返りの手法を試してみた

こんにちは!クラッソーネでアプリケーションエンジニアをしている町田です。
今回は、これまでに試してきた様々な振り返り手法について総評をお伝えします。振り返りの進め方に悩んでいる方や、新しい手法を取り入れてみたい方の参考になれば幸いです。

前置き

筆者はこれまで、KPTという手法を用いて振り返りを行ってきました。
ですが、最近の振り返り会では、新しい視点を取り入れるために象、死んだ魚、嘔吐WWWという2つの手法を試してみました。
新しい手法を試した理由は以下の通りです。

  • 振り返りのマンネリ化や形骸化を防ぐため
  • KPT以外の手法を通じて、新たな学びや効果を得たかったため

今回はそれぞれの手法の概要や使ってみた感想を中心にお伝えするため、具体的な進め方は省略しています。
興味があればぜひ調べてみてください!

「KPT(Keep Problem Try)」とは?

「KPT(Keep, Problem, Try)」は、振り返り手法の中でも広く使われているものです。
うまくいったこと(Keep)を評価し、問題点(Problem)を洗い出し、次のアクションプラン(Try)を考えるために活用されます。
こちらは一般的に広く使われている手法なので、詳細の説明は省きます。

「象、死んだ魚、嘔吐」とは?

「象、死んだ魚、嘔吐」は、チームの振り返りやレビューで使われる少しユニークな手法です。
チーム内に隠れている問題や感情を表面化し、解決や整理に役立てることが目的です。
それぞれの要素には次のような意味があります。

「象」は、チーム全員が感じているものの、あえて触れられていない課題を指します。
皆が気づいているのに見て見ぬふりをしてきた問題に光を当て、正直な議論をしましょう。

死んだ魚

「死んだ魚」は、放置していると後々困る問題を意味します。
過去のトラブルや放置されている問題を再確認し、必要な解決策を見つけていきましょう。

嘔吐

「嘔吐」は、心の中に溜まっていたぶっちゃけた思いを表します。
感情的なストレスや不満を吐き出し、感情面からもチームの健全さを保つようにしていきましょう。

「WWW(What Went Well)」とは?

「WWW(What Went Well)」は、チームの成功体験やポジティブな成果に焦点を当て、良かった点を再確認し、今後に活かすことを目的とする手法です。
それぞれの要素について説明します。

Went Well

「Went Well」では、うまくいったことを振り返ります。
チームや個々のメンバーが達成した成果を再確認することで、チーム全体の士気を高め、次のプロジェクトに活かせる成功のポイントを共有します。

To Improve

「To Improve」では、カイゼンが必要な点や問題を洗い出します。
過去に起きた問題や、さらに良くできる部分を見つけて、次に同じことが起こらないように対策を考えます。

Action Items

「Action Items」では、次にやってみることを具体的に挙げていきます。
「Went Well」と「To Improve」で出てきた内容を踏まえ、次のプロジェクトやスプリントでのアクションプランを作成します。

総評

それぞれの振り返り手法の概要を説明してきました。
これらの手法を試した結果、チームの状況や目指す目的によって有効な手法が変わってくると感じました。
以下に、各手法のメリットや感じたことをまとめてみます。

KPT(Keep Problem Try)

KPTは、ポジティブな意見とネガティブな意見をバランスよく引き出せる手法で、幅広く認知されています。
そのため、初めて振り返りを行うチームでもスムーズに意見が集まりやすい印象です。
特に、Keep(うまくいったこと)を最初に振り返ることで、ポジティブな雰囲気を作りやすく、その後のProblem(課題)の指摘も自然な流れで行えます。
参加者から「こうしたらもっと良くなる」というTry(次にやってみること)の提案も出やすく、具体的なアクションプランを作りやすいのが魅力です。
振り返り後には得られるものが多く、定期的に使いたい手法です。

象、死んだ魚、嘔吐

この手法は、普段は表に出にくい感情や潜在的な課題を洗い出すための、少しユニークな振り返り方法です。
象、死んだ魚、嘔吐というインパクトのある名前からして、チームメンバーの気持ちを解放しやすく、心に溜めていたものを出すきっかけを作ってくれます。
課題や感情をチーム全体で共有し、向き合うことができるため、チームの結束力を高める効果もあると感じました。特に、感情面での不安や不満がチームに存在する場合に非常に有効です。
また、象(チームで見て見ぬふりをしてきた問題)や嘔吐(溜まっていた本音)の要素があることで、他の振り返り手法では出てこない深い課題に気づくこともありました。
ただし、この手法を効果的に使うためには、チーム内に安心して意見を言える雰囲気が必要だと感じました。
そういった基盤がチームで整っている場合にのみ、非常に有用な振り返り手法だと思います。

WWW(What Went Well)

ポジティブな意見が出やすいテーマを軸にしているため、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーがいるチームでも使いやすい手法です。
成功体験に焦点を当てることで、振り返り後にはチーム全体の士気が上がり、次の業務に前向きに取り組める雰囲気になるのがこの手法の大きな魅力です。
特に、Action Itemsを出す際、前向きなものばかりがリストアップされるので、実際に取り掛かるときに手が進みやすいです。
また、振り返りが初めてのメンバーや、振り返りに慣れていないチームにも導入しやすいという点も評価のひとつです。
ポジティブな雰囲気を保ちながら改善を進めたい場合には、とてもおすすめの手法だと思いました。

まとめ

振り返りにはいろいろな手法がありますが、どの手法がベストかはチームの状況や目的次第だと改めて思いました。
今回紹介した手法はそれぞれに特徴があり、チームのフェーズや抱えている課題に合わせて選ぶと、効果的な振り返りができると思います。
ぜひ皆さんも、自分たちのチームに合った手法を探してみてください。