法人・個人の審査業務を自動化し、業務を効率化した話
こんにちは、最近、電動昇降デスクデビューした SRE チームの宮原(@TakashiMiyahara)です 🙋
今回は、法人・個人の審査業務を自動化し、業務効率を大幅に改善した取り組みについて紹介します。
背景と課題
クラッソーネでは、健全かつ安全なプラットフォームを運営するために、お取引先様の事前審査を行っております。この審査業務は管理部が担当し、以下の確認作業を実施しています。
- 登記簿の取得と確認(法人の場合)
- 反社会的勢力との関連有無の確認
- 行政処分歴の確認
- 風評情報の確認
- CRM システムへの登録
主な課題
これまでの審査業務には、以下のような課題がありました。
1. 法人特定の難しさ
似た名前の法人が複数存在する場合、住所や代表者名などを照合して正しい法人を特定する必要がありました。この作業には予想以上の時間を要していました。
2. 手作業による確認作業の煩雑さ
法人を特定した後も、以下の作業を手動で行う必要がありました。
- 登記簿の取得と代表者情報の抽出
- 法人名・代表者名での反社チェック
- 行政処分情報の確認
- インターネット上での風評確認
自動化プロジェクトの開始
理想の状態の定義
管理部へのヒアリングを通じて、以下の要件を定義しました。
- 従業員からの審査申請後、各種チェックが自動実行される
- 最終判断は管理部の従業員が行える状態を維持
- 申請から結果確認までの時間を最小化
開発ステップ
自動化は以下の順序で実施しました。
- 申請経路の整理と申請内容の標準化
- 登記簿取得の自動化
- 各種チェックの自動化実装
- 統合フローの構築
実装の詳細
申請フローの標準化
バクラク申請の「新規取引先申請」フォームを活用し、以下の改善を実現。
- 法人検索機能による正確な法人特定
- 法人番号の自動取得
- 基本情報の自動入力
自動化システムの構築
1. 登記簿取得の自動化
商業登記簿 API「登記くん」を利用し、以下を実現。
- 法人番号による正確な登記情報取得
- 役員情報の自動抽出
- 原本 PDF の自動保管
- 平日 8:30-23:00、休日 8:30-18:00 の自動取得
2. 各種チェックの自動化
風評チェック
(法人名 OR 代表者氏名 OR 役員氏名) AND (指導 OR 行政処分 OR 勧告 OR 指示処分 OR 停止 OR 取消 OR 廃止 OR 送検 OR 捜査 OR 逮捕 OR 脱税 OR 申告漏れ OR 罰金 OR 暴力団 OR ヤクザ OR 容疑 OR 違反 OR 事件 OR 違法 OR 破産)
上記検索クエリを用いた自動検索システムを構築
反社チェック
- 株式会社エス・ピー・ネットワークの API を活用
- 法人名・役員名での一括検索を実現
行政処分チェック
- 日本信用情報サービスの API を利用
- 処分情報の自動取得を実装
統合フローの構築
バクラクの API と Slack を連携し、以下のような自動化フローを実現。
- バクラク申請の受付
- 専用 Slack チャンネルへの自動通知
- Bot による申請内容の取得
- 各種チェックの並列実行
- 結果の自動集約と報告
改善の成果
自動審査が実行された様子は下記のとおりです。
定量的な効果
- 審査時間の大幅短縮:15 分以上 → 1-2 分
- 24 時間 365 日の自動受付が可能に
- 手作業によるミスのリスクを削減
定性的な効果
管理部従業員からの声
今まで 15 分以上かかっていた審査業務が体感一瞬でできるようになって、とても感動しています。時間の面での短縮はもちろんですが、1 つの審査を行うために、複数サービスを横断するということが無くなったことによる精神的な気楽さがあります。そのため、人の目で行う部分に注力できるという点において、エンジニアさんに単純作業を効率化してもらえるということはとても意義あることだと感じています。
謝辞
本プロジェクトの実現にあたり、以下の企業様から多大なるサポートをいただきました。
- 株式会社 LayerX 様
- 株式会社ティヒ様
- 株式会社エス・ピー・ネットワーク様
- 日本信用情報サービス株式会社様
各社の充実した API と手厚いサポートにより、このプロジェクトを成功に導くことができました。
おわりに
クラッソーネでは、プロダクトとチームの双方をより良く改善していけるエンジニアを募集中です!